長柄町のみんなの思いが集まり、その輝きを届けるお店へ【パティシエールナオ|後編】

長柄町の魅力を伝えるウェブメディア「ながらを読む(仮)」の企画第一号として、
「パティシエールナオ」を営む窪木尚さん(以下、なおさん)のインタビューをお届けしています。


前編では、なおさんがパティシエールを目指したきっかけや今のお店のこだわりのお菓子に込められた思いをご紹介しました。


後編では、なおさんが地域での活動や自身の生活の中で感じる長柄町への思いをご紹介していきます。




長柄には生きていく上で大切なものがある。でも、足りないものもある

現在は10代の大半を過ごした長柄町に根を下ろしているなおさん。
これまでの人生を振り返ると、色々な場所での生活を経験されています。


3歳までと帰国後には千葉市、製菓専門学校を卒業した後には横浜で暮らしていた時期があります。また、幼少期にはロンドンで過ごし、パティシエールとなってからも修行のためヨーロッパに何度も渡っています。

若い頃にはヨーロッパで暮らしていきたいという思いもありましたが、今は長柄町が気に入っていると言います。


「横浜に住んでいた頃、長柄の実家に帰ってくると”生きてる!”って感じがしたんです。

長柄には人間が生きていく上で大切な自然とのバランスの取れた環境がある、土があるからそう感じられるんでしょうね。」


一方で、ヨーロッパで過ごした経験があるからこそ長柄町の現状に対する課題感もあると話します。

特にギャップを感じるものの一つが、文化的な豊かさ。
長柄町に限ったことではありませんが、日本では文化の面で田舎が都会に劣ってしまう部分があると感じています。


「ヨーロッパでは、田舎に行っても素晴らしいホールがあって、バレエやオーケストラの公演が行われているんです。でも日本だと、そういう文化施設は都会に集中していて、田舎には少ないですよね。」


そんな思いも、長柄町でお店を開く理由の一つになっています。


「長柄でお店をやっていると、『なんでここでお菓子屋さんをやっているんですか?東京に出ればいいのに』ってよく言われるんです。

でも、ここにお菓子屋さんがあることで、長柄が文化的にも豊かな町になればという願いがあります。

自分の好きな環境で、都会に負けないお菓子屋さんがやりたいです。」

なおさんの子ども時代の思い出が垣間見える春のInstagram投稿




「おへそまつり」で、郷土愛をはぐくむ場所をつくる

なおさんと話していると、子どもたちの教育のことや交通事情のことなど、もっと長柄町を良くしたいという思いやアイデアがたくさん出てきます。


そんななおさんにとって長柄町への思いを強めるきっかけとなったのは、長柄町に住む5人の女性たちとともにイベントの主催者の一人として企画・運営に携わった「おへそ祭り」です。


「色んな人たちとの交流や新しい発見がある、すごくいい経験でした」

と当時を振り返ります。


おへそ祭りは、音楽などのステージ発表や屋台を集めて町内外のみんなで楽しむイベントです。

会場は、2011年に閉校した水上小学校。誰もいなくなってしまった学校を年に一度はにぎやかにしようと、2013年から2018年まで続けられてきました。


「主催メンバーは私以外は大人になってから移住してきた人たちだったから、それぞれ育ってきた環境も違います。でも、長柄町を活性化させたい、元気にしたいという思いはみんな一緒でした。」


このお祭りは町外の人に長柄町の魅力を伝え、町内の人にもっと長柄町を好きになってもらうためのものとして企画されましたが、なおさんは特に町の子どもたちに届けたいという思いが強かったと言います。


「私にも子どもがいるので、子どもたちにとって長柄町に対する思いを作れるような
ものがあればと思っていました。

小さい頃に体験したお祭りの経験って、大きくなっても心の支えになるような幸せの象徴として残ると思うんですよね。」

色んな人が集ってつくりあげたおへそ祭り



何もない小さな町でも、みんなが輝けるように

おへそ祭りで出会った仲間からたくさん刺激をもらったなおさん。

会場だった水上小学校の売却が決まり、現在おへそ祭りは行われていません。しかし、その時にはぐくんだ長柄町への思いは、今もなおさんのお店に息づいています。


パティシエールナオの店頭にはなおさんが作るお菓子だけではなく、町内や近隣の町で作られたやパン、長柄町で野菜やお米を育てている農家さんの野菜も置かれています。

なおさんのお店は、まさに「長柄町の美味しいもの」の発信源なのです。


「お祭りの経験を通して、この町は小さくて何もない町だけど、この中でどうすればみんなが輝いていけるのかなと考えるようになりました。

それぞれの思いを持って長柄にやってきて何かを始めたんだから、彼らに幸せになってほしいなと。だから、彼らの作る思いのこもった品々も一緒にお客さんに届けています」


長柄町の絵本カフェ ehon no ouchi sumicaのパンも置いています


また、昨年から販売を開始し大人気となっている缶クッキーも、長柄町の魅力を伝える取り組みの一つです。絵本作家のどいかやさんのイラストがプリントされたブリキの缶に可愛らしいクッキーや焼き菓子が詰まっています。


「このイラストは、私の思う長柄町のイメージを描いていただいたものなんです。
このクッキー缶が長柄町のイメージ発信になったりだとか、こういうものを大事にして作っているよっていう思いが皆さんに伝わればうれしいです。」

地域での活動や、自身のお店を通して長柄町を元気にしようと動き続けるなおさん。


そんななおさんに、これからやりたいことを聞いてみました。


「田舎って夜になると真っ暗になるところが多いじゃないですか。
そんなときに、コンビニの明かりが見えたりすると安心するし、心強いですよね。

このお店も、小さくてもそんな明かりを灯し続けていけるような場所になりたいなと思います。」



ぜひパティシエールナオへ

いかがでしたか?

なおさんのこれまでの経験や思いを知ると、
お店のお菓子がよりいっそう美味しく感じられそうですね。


「ながらを読む(仮)」では、
これからもパティシエールナオのお菓子の紹介などをお届けしていこうと思います。
今後の記事にもぜひご期待ください。

そして、ぜひなおさんのお店に足を運んでみてくださいね!


(取材:長柄町ブランドロゴ制作ワークショップ参加者)
※取材はオンラインで行われました



パティシエールナオ Patissiere Nao
住所|〒297-0235 千葉県長生郡長柄町皿木172−23
TEL|0475-35-1412
Instgram|https://www.instagram.com/patissiere_nao/?hl=ja
Facebook| https://www.facebook.com/Patissiere-Nao-1882826951932192



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